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氷の造形
長野県松本市

氷から生まれるぼく

氷は融け白く長い影となり
ぼくの体内へとわき上がってくる
血潮に交わりふたたび空気の中へ帰っていく
(砂の声は春を迎える準備でふつふつしている)

土の中で冬の迷路を聞き分けて
密かに分裂し続けたあつい樹液が
地層の間を海に向かって流れ始めるだろう
(石英と雲母の新鮮な輝きが水を白く変えている)

ぼくが小径を歩くとき
その脇をいつも空気や水が流れ
凍てついた夜でさえ光が靴の裏を暖めた
長くうねる径と同じように水はうねり
それをまねて氷もうねる 夜風もうねる
ふと立ち止まった白いたましいの上で氷から生まれるぼく

原 静鳴

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